大網白里はなぜ水没するのか?:現地を歩いて分かった「水害と暮らす街」の地形

大網白里はなぜ水没するのか?:現地を歩いて分かった「水害と暮らす街」の地形 沼レポ

2026年、千葉県では大雨による浸水被害が相次ぎました。被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

ただ、そんなニュースを見ていて、どうしても気になったのが「大網白里」。駅周辺が広範囲に冠水する映像が報道され、しかも3回連続。さすがに…「なんで毎回水浸しになるの?」と思いました。

実は私、娘が小さかった頃に近くの昭和の森まで自転車の練習に連れて行き、帰りに九十九里で巨大エビフライを食べた思い出があります。

また後輩の実家も大網白里市にあるので、繰り返される水害には正直ショックでした。なぜここは水害が多いのか。そして今後も冠水するのか。気になったので、現地に行って調べてきました。

 

大網駅周辺はなぜ毎回水没してしまうのか

大網駅周辺はなぜ毎回水没してしまうのか

大網白里市 ─ その中心にあるのが「JR大網駅」ですが…、なぜこの駅周辺は毎回水没するのか。端的にいうと、周囲から大量の雨水が流れ込むのに、排水が苦手な地形だから。

これは大網白里市も公表していて、西側の丘陵地から雨水が流れ込み、河川や排水路で処理しきれずに浸水被害が発生してしまうんだとか。

でもなぜ?って話ですが…、まず大網駅の西側には下総台地が、東側には九十九里平野が広がってます。つまり、大網駅は台地から平野へ切り替わる、ちょうど境目にあるってこと。

大網駅周辺はなぜ毎回水没してしまうのか
大網駅周辺はなぜ毎回水没してしまうのか

だから大雨が降ると、西側の台地から雨水がバンバン流れ込みます。でもその雨水が、海までサッと流れていけばよいのですが…、九十九里平野はアホみたいに平坦です。

つまり、水がなかなか流れません。しかも、大網駅周辺からの排水ルート(金谷川)は細い川。大量の雨水が押し寄せれば、簡単にキャパオーバーです。

大網駅周辺はなぜ毎回水没してしまうのか

こうして行き場を失った雨水によって冠水してしまう現象を、「内水氾濫」と呼びます。もちろん、行政も金谷川の改修を進めてますが…、そもそも水が集まりやすい場所に駅がある。

これが、大網駅周辺で何度も水害が起きる理由です。

 

現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所

現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
大網駅直前の車窓
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所

千葉駅から外房線で大網駅へ向かうと、線路は鎌取・誉田・土気と台地上を走ります。ところが、大網駅の手前で空中に飛び出し、ここから先は九十九里平野。

この日(2026年10月)、駅のエレベーターなどはまだ使えず、構内には土のうも残ってました。駅北口へ出て東金線のガードをくぐると、周囲は見事なくらい平坦です。

道路には泥の跡が残っていて、駅から10分ほど歩けば広大な農地が現れます。そこを流れる金谷川は農業用水路といった雰囲気で、流れも弱く「やる気のあるタイプ」には見えません。

現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所

実際、この川の標高断面を調べると、標高20mほどの高さから海まで、約18kmをダラダラと流れているようです。これは、低い滑り台の下に長い平らな床があるような地形。

しかも大網駅周辺は東西の台地から細長い尾根が何本も突き出していて、まるで自然の防波堤。さらに…気になったのはJR東金線の盛土です。

現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
地形の高低差を分かりやすくするため、金谷川の流路ではなく、上流側から河口付近までを直線で結んだ標高断面図です
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
カシミール3D(スーパー地形アプリ) http://www.kashmir3d.com/
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
現地を歩いて分かった水がたまりやすい場所
2026年8月:千葉豪雨による推定浸水エリア(筆者が空撮映像を元に記載)

水害時の空撮映像では線路を境に浸水範囲が分かれてるように見えるので、忍城を水攻めした石田三成の「石田堤」を彷彿とさせます。

これらが実際に水をせき止めたかは不明ですが、いかにも水が溜まりそうな街でした。

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なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか

なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか
なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか
なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか

さて、現地を歩いていて驚いたのが…、どう見ても水が溜まりそうな低地に、普通に家が建ってることでした。周囲は水田だらけだし、こんな場所に家建てたら水来るじゃん…と。

例えば、これまで歩いてきた利根川や小貝川の流域では、低地は水田にして、住宅は少し高い「自然堤防」の上に建てるのが一般的でした。

でも大網駅周辺には大きな川がないので…、自然堤防もありません。その代わりにあるのが、東西の台地から細長く突き出した尾根。その一つに登ってみましたが、これまた狭い!

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なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか
なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか

家を何軒か建てる程度ならともかく、まとまった住宅地を造るにはスペース的に厳しい場所でした。もちろん、西側には広い台地もありますが、そこまで行くと駅から遠くなる。

せっかく外房線と東金線が使えて、千葉市方面へのアクセスがいい大網駅周辺なのに、それじゃあ意味がない。だから多少低い土地でも、駅近に住宅が集まったんでしょう。

なぜ大網ではそんな場所に家を建てるのか

おそらく昔は「ここまでなら水は来ないだろう」という感覚もあったと思います。でも最近の大雨は、その想定も超えてくる。

便利な場所に住みたいけど、水害は困る。そんな悩ましい事情があるわけです。

 

ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由

ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由
ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由

ところで、今回の水害でニュースになったのが、大竹橋交差点近くの「ラーメンみたけ」とセブンイレブン。実際に歩いてみると、周囲は水田や水路が広がる低い土地でした。

しかも両店の駐車場は、県道83号線より低い位置にあります。水害の映像でも、道路は冠水してないのに、店の敷地は水びたし。

報道を観た時は、わざわざこんな場所に店を建てなくても…と思いましたが、現地に来て納得しました。ここ、結構な交通量があるんです。

ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由
ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由

県道と主要道が交わり駐車場も広いうえに…ライバル店は少ない。車で来る客を相手にするなら、間違いなくいい場所です。

ちなみに今回は、営業を再開した「ラーメンみたけ」で大網キムチラーメンを食べてきました。

そこで気になったのが、客席より厨房の床が高いこと。浸水時はカウンターの上まで水が来たそうですが、厨房の設備は少しでも被害を免れたのかもしれません。

ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由
ラーメン屋とコンビニがあの場所にある理由

ただ、水害を想定した造りなのかは分かりません。店には営業再開を知らせる張り紙もありました。

16時過ぎだったのに行列ができるほどの盛況ぶり。何度も水害に遭いながらも、ここで商売を続ける。それだけ、立地に魅力があるんでしょう。

なお、当日の様子はこちらの動画でも公開しています。

 

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