渡良瀬遊水地のすぐそばにある、群馬・埼玉・栃木の三県境。「道の駅かぞわたらせ」から徒歩10分ほどの場所にあるこの場所。
実際に行ってみると「日本には48ヶ所以上の三県境があります」なんて書かれていて、いやいや…そんなにあるなら別に珍しくなくね?って思った人、意外と多いはず。
正直5分もあれば見終わってしまうし、余計に「虚しさ」を感じてしまう…、そんな場所です。ただ気になるのが、「じゃあその48ヶ所ってどこなんだよ?」って話。
この記事では、日本にある三県境を一覧で整理しつつ、なぜここだけが「大変貴重な存在」と言われるのかを見ていきます。読めば、このモヤっとした違和感は…一応解消されるはずです。
日本の三県境はどこにあるのか一覧にしてみた

日本全国にある三県境、今回はWikipediaの情報をベースに整理してみましたが、全国に48ヶ所あるそうです。
山の上にあるものが35ヶ所、川の中や湖などが12ヶ所、そして気軽に行ける場所が1ヶ所、という内訳です。



ちなみに、日本は47都道府県です。
なので三県が接するポイントを算数で出した場合、最大でも45ヶ所が上限ですが…48ヶ所ある。3ヶ所多いですよね。

なぜかというと、和歌山・三重・奈良、この3県が稼いでるんです。
普通、三県境というのは3つの県で1ヶ所しか持たないのですが、この3県はちょっとクセ強で、和歌山県の北山村や新宮市の一部が飛び地となって、三重県と奈良県にガッツリ包囲されてます。

これが、結果として「三県境が5ヶ所もある」という「クセ強構造」を作り出し、全国48ヶ所という「算数でも理解不能な数字」を叩き出す理由になっています。
とこどで、そんな県三境ですが…、「山率高くない?」って思いませんか? これは三県境というより、県境に山や川が多いことが影響しているわけなんですが…。
そもそも「県境」って、なんでこんなに山や川に偏っているのかというと、昔は正確な地図がなかったので、「誰が見ても分かる場所」を境界にするしかなかったから。

その代表格が山と川。特に山は、降った雨が「こっち側」と「あっち側」にそれぞれ流れるので、農業や生活面でも区切りやすい。
ちなみに、この考え方を「分水嶺」といいますが…、最後の方でもう一回出てきます。あとは単純に、山や川は人が住む場所じゃないので、境界をめぐって揉めにくいっていうのもあるでしょう。
なので結果的に、「三県境は山や川に集中していった」というのが実態です。
群馬・栃木・埼玉の三県境はなぜ地上にあるのか



ちょっと繰り返しにはなりますが…、さっきの一覧を見てもらえば分かる通り、三県境はだいたい山の上か、川の中にあります。
つまり普通は登山をしたり、カヌーをしたり、そういった手段を使わないと立ち入れません。なので「三県境に行く」ということ自体、基本的にはハードルが高いんです。
確かに三県境は全国に48ヶ所(Wikipedia)ありますが、普通に歩いて行けるような場所は「ほぼここだけ」。ではなぜ、この三県境は地上にあるのか。その理由は、渡良瀬遊水地にあります。



実はここ、かつては川の上でした。しかし渡良瀬遊水地が作られたときに川の流路が変えられ、もともとの川が埋め立てられたことによって、地上に残ってしまったんです。
例えば、多摩川が東京・神奈川の都県境であることは有名ですが、もし多摩川が洪水対策で暗渠化されてしまったら? ─ 都県境はそのままの位置で地上に残るでしょう。
工事によって川の流路が変えられたからといって、「あなたの住所、明日から隣の県に移します」ってわけには…いかないですからね。
それでもこの場所に「虚しさ」を感じてしまう理由


でも実際に行ってみて、ちょっとした「虚しさ」を感じた人、多いんじゃないかなと思います。それは、この場所にたどり着く流れが「消去法の掛け算」になってるから。
おそらく、ここを目的に来る人は少なくて、半日くらい周辺で遊んだあとに、じゃあ次どこ行こうか?みたいになって、「湖的なのあるし行ってみよう!」と渡良瀬遊水地にやって来る。
そして休憩がてら、「道の駅かぞわたらせ」でアイスをパクパクと。まあ、ここまではいいんですが…、渡良瀬遊水地は遊覧船もなければ、水遊びができるわけでもない。
ただ広いだけの遊水池。この時点で「なんとなく不穏」な空気が流れます…。


実際、展望台にいる人たちも楽しそうじゃなさそうです。じゃあどうするか?となったときに出てくるのが、「近くに三県境があるらしいよ」という話。
歩いてすぐだし、行ってみよう!と家族でポテポテ歩き出す。でも着いてみると、そこにあるのは三県境界プレートだけ。…。写真を撮って、5分もあれば終わります。

つまりここが目的じゃないまま流れてきて、最後にたどり着くのが三県境。そもそも県境は「地形」でも「観光地」でも「景色」でもない、人間が地図上に定義した線に過ぎません。
それを現地で見たとて…ですよ。つまり、県境は「地図上で楽しむもの」だと、私は思います。
三県境と似たような「境界を体感できる場所」

最後に、関東地方の「境界スポット」を2つ紹介しようと思います。
まずひとつが、千葉県鎌ヶ谷市にある「三分水嶺」。
分水嶺とは、雨の水が別の水系(方向)に分かれる地点のことですが、ここは手賀沼・印旛沼・東京湾の三方向に分かれて流れる「三分水嶺」として、全国でも珍しい場所といわれています。

見た目でもなんとなく理解できる分、三県境よりは分かりやすいのですが…、正直ここも「普通に虚しさは感じます」。
私のような地形マニアでも「ああ、そうなんだ…」で終わってしまうので、一般の方にはまったくおすすめできません。そもそも、鎌ヶ谷は渋滞がひどいですし…。


そして、もうひとつが千葉県市原市にある「チバニアン」。
こちらは「時間の境界」を見る場所です。地層によって時代の区切りが示されていて、意味を知ってから行くと一気に面白くなるタイプの場所。

ガイドツアーに参加すればちゃんと説明も聞けるので、「5分間の虚無な撮影」だけで終わる心配もありません。

こうして見ると、「境界」にも色々あって、三県境みたいに「ついで参り系」もあれば、三分水嶺みたいな「完全虚無系」、チバニアンみたいに「世界レベルの発見系」なものもあったりする。
つまり結局は、どう楽しむか次第です。少なくとも、この記事を三県境で読んで頂いているなら…、今日はもう無理せず、美味しいものでも食べて早く帰った方がいいのかも。







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