料理の味を「ありきたりな表現」ではなく、その場の空気感まで知りたい!という人に向けて真正面から伝え切る「沼メシレビュー」シリーズ。
今回は下妻市大宝にある、お団子お食事ゑびすやの「宝チャーシューメン」を紹介します。
そこへ向かうまでの街の風景や、店に入った瞬間の空気感、料理が置かれた時の景色がどう映ったか。そんな細かなところを、できるだけそのまま拾っていきます。
このコーナーでは、「味の良し悪し」は語りません。その店を、料理を、時間を、読んだまま感じていただけるよう、筆者が体験してきた「情景」をお伝えします。
読み終えたとき、その料理を囲んでいた時間のようなものが、少しだけイメージしやすくなるはず。
普通の食レポではわからない何かを感じたい時、気軽に読める「もうひとつの視点」として使ってみてください。
店の印象




ここは下妻市大宝。下妻といえば映画「下妻物語」のイメージが強いけど、実は昔から「沼の街」。すでにその多くは埋められてしまいましたが、かつては町のあちこちに沼が点在していました。
巨大な沼を埋め立てて、広大で平坦な農地ができたからこそ、映画の撮影地としての条件を満たしたのかもしれません。
今回の大宝地区にもかつて「大宝沼」という沼があり、その名残が地形にしっかり残っています。関東鉄道常総線の大宝駅は、まさにかつての「沼の底」。
実際、駅を降りるとすぐに、大宝八幡宮へ向かう上り坂が始まる。沼が埋め立てられたあとも起伏だけは残り、歩くだけで当時の地形がなんとなく想像できるのが面白いところです。
その大宝八幡宮の境内にあるのが、今回の「お団子お食事ゑびすや」。お団子屋兼お食事処で、「厄除だんご」と「宝ラーメン」が名物です。(お店の公式HP)
メニューの印象




まずは大宝八幡宮での参拝を終えてゑびすやに入ると、休日のお昼どきで境内のイベントも重なり、店内はかなりのにぎわいでした。
店内は手前半分がお団子などのお土産コーナーになっていて、その奥がお食事スペースというつくり。席に案内されてメニュー表を見ると、大きく載っているのは名物の「宝ラーメン」と「とんかつ系」。
「宝」「かつ(勝つ)」といった縁起の良い料理に特化している印象です。
「厄除だんご」と飲み物などのセットもありますが、全体的に品数は多くはなく、周囲を見ても観光客は即決で宝ラーメンを選んでいることが多め。
私も迷わず「宝チャーシュー麺」を注文します。そしてそれが着丼した瞬間、溢れんばかりの水(スープ)を湛え、デカい豚(チャーシュー)がブヒブヒ、藻類(ワカメ)がモジャモジャ。
これはまさに、「現代に甦った大宝沼」そのままの姿です。
食べた印象



レンゲでスープをひと口すくうと、ふわっと鼻に抜ける説明不要な「これです!これ!感」があります。
利根川水系の中華そばは、醤油がコツーン!と「こめかみパンチ」してくるタイプが多い気がしてますが、ここはまったく違う方向性。
丁寧な鶏ガラの旨みが軸にあって、醤油より塩が少し前に出るようなバランス。とにかく雑味がなくて、「美しいスープ」という表現が適切です。
麺は細めのストレートで、パツッ!パツッ!という小気味良い食感が、この美しいスープと相性バッチリ。
そして何よりもこの豚ですよ豚(チャーシュー)。持ち上げた瞬間に「あ、これヤベえやつだ」ってわかる厚みと重さ。余計な味を足さず、脂の甘さだけでブヒブヒ言わせに来る存在感。
なるほど。これはチャーシューメンじゃなくて、メンチャーシュー(豚が主役)だったのか、と納得させられます。
食後の余韻





店を出たあと、「あれ…、結局なにを食べたんだっけ?」と一瞬だけ意識が混乱しました。確かに食べたのはチャーシューメンですが、記憶の中心は「完全に豚」。
スープや麺もちゃんとしてるのに、気づけば豚ばかりが何度も脳裏に蘇る、そんな不思議な感覚でした。
さて、食後は大宝八幡宮の周辺を散歩するのも気分転換になります。ここは大宝城跡という城跡でもあるので、「兵どもが夢の跡」を偲ぶのも一興。
常総線は1時間に1〜2本です。汽車の時間まで「食後の散歩」を愉しむ。こんな余裕こそが、自由な休日感を高めてくれます。
なお、「厄除だんご」は持ち帰りで購入。小さめサイズなら「宝チャーシューメン」と合わせても2千円に届かず、家族へのお土産にもちょうど良い。
都心からでも意外と行きやすいので、休日の小さな旅先として、ちょっとブヒブヒ行ってみませんか?
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