安針台公園ってどんな場所?横須賀の軍港が見えるっていうけど、本当に撮影スポットになるの?─ そんな疑問を持つ人に向けて、この記事では現地を歩いて確かめたリアルな情報をお届けします。
「期待して行ったらガッカリ」になる前に、どんな景色が見えて、どこで撮るのがベストなのかを知っておきましょう。
iPhoneでも軍艦をしっかり撮れる場所や、安針台公園に行く価値があるかどうかまで、読み終えた頃には自分で判断できるようになっています。
iPhoneで撮影できる写真やアクセス情報
横須賀の海軍基地を見下ろす丘の上の公園




安針台公園は、横須賀本港を見下ろす高台にある静かな公園。足元には海上自衛隊の横須賀地方総監部があり、護衛艦が何隻も停泊しています。
またその奥の対岸には米海軍の横須賀基地があるため、米艦船の姿も見える位置関係になっています。つまりこの公園では、海自と米海軍の艦船が同じ画角に収まるわけです。
いまは住宅地に囲まれた穏やかな場所。でも古地図を見ると、このあたりは森に覆われた高台だったようです。戦時中は軍港を見下ろせるというだけで、立ち入りが制限された場所もあったと聞きます。
この高台は近所の人がのんびり過ごすための公園として整備されましたが、足元の護衛艦からは「いかにも軍隊っぽい」音声も聞こえてくる。
ここはどこかに昔の横須賀らしさが残っている、そんな場所です。
柵と草に遮られる眺望と「これじゃない感」



さて、「軍港が見える公園」と聞いていたのに、安針台公園はフラッと行くと「これじゃない感」を味わうスポットです。
実際、目の前には艦船がずらっと停泊してはいるのですが、崖の上なので安全対策のため「かなり高い柵」が設置されています。しかも柵の向こうは草がモサモサ。
特に夏は背丈のある草が視界をさえぎって、思った以上見えません。さらに「フェンスに登らないでください」など、撮影に関する注意書きも多く、なんとなく空気がピリついています。
実際、現地には脚立を立てて望遠レンズを駆使した一眼レフ勢もいて、iPhone片手にフラッと来たニキは場違い感を味わいます。仕方なく柵の隙間にiPhoneのカメラを合わせて数枚撮影。
でもその間に、顔に羽虫が何度もペチペチ。やる気が喪失して5分で撤退します。。
アクセスを間違えると崖登り(駐車場の有無)




安針台公園へ行くなら、京急・安針塚駅から歩くルート(徒歩約11分)がいちばん無難です。
JR横須賀駅からも徒歩で向かえますが、国道のトンネルを抜けたあと、最後に「崖を一気によじ登る」ような坂が待っています。特に荷物がある人には正直おすすめできません。
安針塚駅からの道もそれなりに上り坂ですが、整った住宅地の中を歩いて行けるので、精神的にはかなり楽。なお、安針台公園に駐車場はなく、近隣にも使えるコインパーキングはほぼ見当たりません。
つまり、車での訪問は現実的ではないということ。バスを使う場合は「吉倉」バス停が最寄りですが、そこからでも結局は「崖を登る羽目になる」ので、安針塚駅からの徒歩が最適解と言えそうです。
アクセスの時点でひとつ間違えると、けっこう消耗します。
なお、安針台公園にはトイレもないので、緊急時は後ほどご紹介する「崖下の吉倉公園」へ向かいましょう。
実は安針台公園の「ちょい下」が撮影スポット
横須賀線と艦船がセットで入る崖の中腹



iPhoneで数枚だけ撮って退散する…そんな展開になりがちな安針台公園ですが、帰り道はちょっと待ってください。
公園を出てすぐ左、車止めがされている細い道を下っていくと、途中で海側の視界が開ける場所があります。
そこが実は横須賀線と海上自衛隊の艦船、そして奥に米海軍の基地まで見える、隠れフォトスポット。しかも撮影の邪魔になるような高い柵もなく、構図を工夫すればiPhoneでもきれいに収まります。
近くに踏切があるので、横須賀線が来るタイミングも遮断機の音で教えてくれるのがありがたいところ。初心者でもシャッターチャンスを逃しません。
Googleマップで出てくる「安針台公園」の写真の多くは、実はこの位置から撮られたもの。公園よりも撮れ高が高いという、知る人ぞ知るスポットです。
ここで撮影できたフランス海軍「プレリアル」


この場所は横須賀線が画角に入る代わりに、海自の艦船はお尻だけ。米海軍の艦船は隠れてしまう場合が多いのですが、この日は海自の護衛艦に混ざって、なぜかフランス国旗を掲げる艦船が見えました。
調べてみると、この艦はフランス海軍のフリゲート艦「プレリアル」とのこと。
日米主催の多国間合同演習「ANNUALEX」に初めて参加するため、タヒチを出港して日本に向かい、数日前に横須賀港へ入港したそうです。(関連ニュース)
まさか海自艦に米国艦に横須賀線、さらにはフランス艦まで画角に入ってしまうとは…、まさに激レアなシャッターチャンス。それにしても、フランス海軍の艦に比べると海自の艦はツルッとしています。
それだけステルス性も高い。海洋立国日本を映す横須賀が、こんなシーンでも見られます。
崖下の吉倉公園がトイレ休憩とバス待ちにベスト


さて、撮影を終えて崖下まで降りると、そこは国道16号線。ここから100m程の場所に「吉倉」バス停があるので、帰りはここからバスに乗ってしまうのが楽チンです。
ただし本数は1時間に2本程度なので、少し待つ場合もあります。でもそんな時は、海自基地に一番近くにありそうな「吉倉公園」へ行ってみましょう。バス停からは徒歩1分です。
もしかしたら、「横須賀線の田浦〜横須賀間でパッと海の景色が開けて、海自護衛艦のお尻がいくつも見えた!」なんて経験をお持ちの方もいるかもしれません。
この吉倉公園はまさにその「パッと海の景色が開けて」の反対側。
残念ながら基地は見えないようになっていますが、トイレや綺麗なベンチもあるので、撮影した写真でも楽しみながら、ここでゆっくりバスを待ちましょう。
崖を降りたら向かうべき横須賀軍港スポット
横須賀駅とベルニー公園で歴史を味わう






JR横須賀駅に着くと、目の前に広がるのは地味な駅前と…ベルニー公園。ここは軍港のすぐ隣にある海沿いの公園で、護衛艦が停泊する桟橋を間近に見ることができます。
園内には記念碑や噴水があり、ちょっとしたフランス庭園風の雰囲気も。
またベルニー公園のすぐ横にある海自逸見岸壁は大型艦が接岸することが多く、今話題の「いずも型護衛艦」が寄港する際はここを利用するケースが多いようです。
この日は偶然にも「かが」がゆっくりと出航していくシーンにも出くわし、地元の人たちがベルニー公園から見送っていました。なお、JR横須賀駅は「階段がない駅」としても知られています。
しかも街の中心部からは外れている。「なぜ?」については、実際にこの駅に来て「目の前に軍港が見えた瞬間」に、自然と理解できます。
ドブ板通りと諏訪大神社でヨコスカを感じる





横須賀らしさを味わうなら、やっぱりドブ板通りは外せません。
アメリカの雰囲気が残るこの通りには、ミリタリー系のショップやアメカジの服屋、横須賀バーガーを出すカフェなど、観光と生活が混じった独特の空気があります。
昼間に歩けば観光客やアメリカ兵たちが行き交い、完全にアメリカの路地を歩いているような気分に。そして、そこから少し坂を登ると「諏訪大神社」があります。
横須賀で神社仏閣というと「豊川山徳寿院」が紹介されがちですが、この記事では敢えて「諏訪大神社」をおすすめします。境内からはドブ板通りと岩山ビューの気持ちのいい景色。
境内入口に掲げられた「OFF LIMITS」というレトロ看板は一瞬オシャレで「さすが横須賀!」って思ってしまいがちですが、「米軍関係者の参拝はお断り」だそうです。おっとっと。
記念艦三笠で東郷ターンをキメて海軍カレー

散策の締めは、やっぱり三笠公園で決まりです。場所は諏訪大神社から徒歩15分ほど、海沿いの三笠公園内に記念艦「三笠」がドンと構えています。
艦内には当時の資料や指揮所が再現されていて、日露戦争を勝利に導いた旗艦としての存在感は今も健在。あの「東郷ターン」で有名な東郷平八郎が実際に指揮をとった艦です。
戦術のことは難しくても、「この船が歴史を変えたのか」と思うとちょっと背筋が伸びる感じがします。
記念館三笠をたっぷり見学したあとは、横須賀中央駅方面へ向かいつつ、もしご当地グルメでキメたいなら「よこすか海軍カレー」を食べて締め。
セットで出てくるサラダと牛乳も含めて「当時風」を味わうのが横須賀スタイルです。腹もふくれて陽も落ちて、あとは京急の快特で爆睡しながら安全に帰りましょう。



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