身近にいる「優しいけど、なんだか気持ちが通じない人」。悪い人ではないし丁寧で親切にも見えるのに、なぜかこちらの感情が届かない ─ そんな違和感を抱えていませんか。
この記事では「優しいのに人の気持ちがわからない人」がどういう特徴を持ち、なぜそうなるのか。またそんな相手とどう向き合えばストレスを減らせるのかについて現実的なヒントもご紹介します。
「分かってくれない人」との関係にモヤモヤしている方にとって、少し気持ちがラクになるきっかけになれば幸いです。
「優しいのに伝わらない人」の正体
ルールで優しさを判断するタイプ
表面的にはとても丁寧で人当たりもやわらかい ─ それなのに「なんか冷たい」と感じる相手がいます。その原因のひとつが、優しさを「感情」ではなく「ルールや正解」で判断しているタイプです。
たとえば「困っている人は助けるべき」「相手の立場を考えるべき」といった「べき論」で動く人は「決まりとして優しく振る舞っているだけ」で、相手の気持ちまでは深く想像していないことがあります。
礼儀正しさや配慮があるように見えても、それは共感ではなくマナーとしての行動です。だからこそ、内心では「全然わかってくれてない」と感じる場面が生まれます。
優しさはあるのに心が通っていないように思えるのは、そもそもの判断基準が違うからかもしれません。
共感力が低く感情に関心がない人

人の気持ちがわからないとされる人の中には、そもそも「感情」というものに強い関心がないタイプもいます。
本人に悪気はなくても他人の喜びや悲しみにあまり注意を払わず、自分自身の感情すら深く見つめていないことが多いのです。
こうした人は相手が傷ついたり困っていたりしても、どこにフォーカスすべきかがわからず、結果として「鈍感」「気づかない」と思われやすくなります。
またそういう人ほど感情表現そのものに戸惑いがあり、共感する力が育ちにくい傾向があります。
表面的なやさしさは持っていても、相手の気持ちに入り込む経験をあまりしてこなかったタイプといえるでしょう。
察する力を避ける自己防衛型

一見すると優しくて無害そうなのに、こちらの気持ちにまったく反応してくれない ─ そんな人は「察すること」を意図的に避けている場合があります。
相手の感情に気づくことは、ときに自分の中の不安や責任感を刺激する行為です。
そのため感受性が強かったり過去に人間関係で疲れた経験がある人ほど「深入りするとしんどい」と無意識に線を引いてしまうことがあります。
結果として相手に対してあえて気づかないふりをしてしまうのです。これは冷たいというより、自分を守るための反応であり、本人も「悪気はまったくない」のがやっかいなところ。
やさしく見えても、内側では距離を置く姿勢が強く出ているケースです。
共感できない相手との向き合い方
感情は言葉にすれば伝わる
「気持ちを察してくれない人」と向き合うとき、まず意識したいのは「言わなきゃ伝わらない」という前提です。
共感力が高い人同士なら「ちょっとした表情や空気感」で感情を察することができますが、そうでない相手にはそれは通じません。
だからこそ遠回しな表現や察してほしいオーラではなく、できるだけ言葉で伝えることが効果的です。
「私はこう感じた」「こうされるとつらい」など、主語を自分にして伝えれば相手も否定せずに受け止めやすくなります。気持ちを伝えることは感情を押しつけることではありません。
むしろ感情を持たないように見える相手だからこそ、具体的な言葉で伝えることでようやく理解の入口に立てるのです。
行動ベースで接するのがコツ

共感力の低い相手に対して気持ちや空気を理解してもらおうと期待しすぎると、自分の側が疲れてしまいます。そういうときは相手の行動に注目して判断するのがおすすめです。
たとえば「言葉では冷たいけど、ちゃんと手伝ってくれる」「気持ちは通じてないけど、ルールは守ってくれる」といった行動面に目を向ければ、その人なりの誠実さが見えてくることもあります。
感情面でのつながりをあきらめるのではなく、求めるポイントをずらすことで関係性のストレスはぐっと減ります。
相手の中に「心」を探すより「動き」を見て関わるほうが、結果的に穏やかな関係を築ける場合もあるのです。
適度な距離感でストレスを減らす

相手の優しさは感じるのに、どうしても気持ちが通わない ─ そんな関係にずっと向き合い続けるのは、思っている以上に疲れるものです。
無理に理解してもらおうとしたり「わかってくれないのは私の伝え方が悪いのかも」と自分を責めすぎると、消耗が激しくなります。
だからこそ必要以上に距離を詰めようとせず、一定の距離感を保ったまま接することも立派な選択肢です。仕事上の付き合いであれば業務に徹し、プライベートでも無理に親しくならない。
相手を嫌いになるのではなく、疲れない関係を目指すことが大切です。「もっと分かり合いたい」は正しい気持ちですが、それを無理に貫かないほうが、お互いに穏やかでいられることもあります。
まとめ

「優しいのに気持ちがわからない人」は、決して悪意を持って接しているわけではありません。
ただ感情への関心が薄かったり、相手の気持ちに深入りしないよう無意識に距離を取っていたりと、優しさの示し方がこちらと違うだけです。
その違いに気づかず、ずっと「わかってほしい」と期待し続けると関係はどこかで疲れてしまいます。大切なのは相手の性質を理解し、自分が無理をしすぎない関わり方を見つけることです。
言葉で伝える、行動で判断する、必要なら距離を置く ─ そんな工夫が心のすれ違いを少しだけ和らげてくれるかもしれません。
編集後記

きっとこの記事を読んでくださっている方も、友人や家族、職場など身近な人の中に「この人ちょっとズレてるかも」と感じた経験があるのではないでしょうか。
嫌いではないし、むしろ好きなタイプ。なのになぜか私の気持ちだけスルーされているような…。そんなもどかしさを抱えたことがある方を想像しながら書きました。
私自身は理系出身で、職場もわりと「数値とロジック重視」な空気が強めです。周囲はいい人ばかりですが、やっぱり共感や感情の機微といった領域になると、ピントがズレる人も多くて。
「気持ちがわからない」というより、そもそも「見ようとしていない」ように感じる場面もあります。
理系あるあるかもしれませんが、「それ、数値化してくれないと判断できない」と言ってくるタイプ、いますよね。こちらとしては「なんだこのやろう…」と思うこともありますが(笑)
でも私は、数値化されていない「空気感」を感じ取ることこそ、人間の役目だと思っています。もしすべてが数値で片付くなら、そもそも人間が判断する必要なんてないわけで…。
まあそれも含めて性格というか、価値観の違いなんでしょうね。
私は最近、「気が合わない人(職場全体とも言えますが…)とは、無理に近づかない」くらいに割り切って考えるようになって、だいぶラクになりました。
みなさんも、もし似たように誰かにモヤモヤしているとしたら、この記事の内容が少しでも参考になればうれしいです。
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