我孫子市・かっぱちゃん:「美味い・まずい」を言わずに伝えきる沼メシレビュー

我孫子市・かっぱちゃん:「美味い・まずい」を言わずに伝えきる沼メシレビュー 沼メシ

料理の味を「ありきたりな表現」ではなく、その場の空気感まで知りたい!という人に向けて真正面から伝え切る「沼メシレビュー」シリーズ。

今回ご紹介するのは我孫子市にある街中華、かっぱちゃんの「ラーメン半チャーハン」。最寄り沼は「本願寺沼」です。

この記事では、お店へ向かうまでの街の風景や、料理が置かれた時の景色がどう映ったか。そんな細かなところを、できるだけそのまま拾っていきます。

なお、「味の良し悪し」は語りません。その店を、料理を、時間を、読んだまま感じていただけるよう、筆者が体験してきた「情景」をお伝えします。

普通の食レポではわからない何かを感じたい時、気軽に読める「もうひとつの視点」として使ってみてください。

 

店の印象

店の印象
店の印象
店の印象
店の印象

我孫子駅の北側 ─ あまり足を向けてこなかったエリアに、今回はじめて行ってみました。

駅の南側は、手賀沼に向かって道が下っていく我孫子ですが、北側も同様、地面が緩やかに沈んでいく地形であることに気づきます。

国道6号線を越えたあたりからは特に落差が大きく、団地の中を大通りが下っていく。その坂を下り切った場所に流れる谷川沿いの道に、「かっぱちゃん」はありました。

ここは団地と戸建てが入り混じる「暮らしのエリアのまん中」で、地元の日常に溶け込む「街中華」として根付いている雰囲気です。

店名は「手賀沼のカッパ」に由来するそうで、水辺の記憶がそのまま看板に滲んでいる感じ。店裏手の谷川は、この地域の成り立ちを理解するうえで重要な要素。

その佇まいと土地の形が、まるで「ひとつのストーリー」のように感じられる、そんなお店です。

 

メニューの印象

メニューの印象
メニューの印象

店に入ってまず驚いたのは、メニューの多さです。麺類から定食まで、まさに「地域の台所」として愛されてきた姿が滲んでいます。

メニュー表には「創業45年」とあり、おそらく1980年前後に創業したのだろうと想像できます。

当時のこの辺り(つくし野周辺)は住宅地として整備が進み、人が住み始めた時期のようで、古地図を見ると小川と湿地が入り混じった「街になる途中の風景」が残っています。

さらに1930年代まで遡ると、お店のすぐ近く、現在の中央学院大学の東側一帯には「本願寺沼」という大きな沼がありました。おそらく利根川の氾濫水がたまって湿地化したものでしょう。

こうした湿地が農地へと整えられ、川沿いの低地が暮らしの場へ変わり、人が増え、その生活を支える店として「かっぱちゃん」が生まれた ─ そんな物語が、このメニュー表から見えてきそうです。

メニューの印象
今昔マップ on the webより https://ktgis.net/kjmapw/

 

食べた印象

食べた印象
食べた印象
食べた印象

ラーメンが運ばれてきた瞬間、まず目に入ったのは「美しい菜葉の緑」と「スープという名の水辺」でした。

つくし野の一部は、利根川河川敷から続く低地にあたります。

現在は治水対策によって水害リスクこそ解消されましたが、地面の「低さ」そのものは地形として残っていて、そんな低地の名残が「店の裏を流れる谷川」に見て取れます。

これは二号排水路といって、この一帯の雨水を金谷排水機場へ送り、利根川へ排水することで住民の生活を守る仕組みです。

でもこの排水路が住宅に沿うように流れているので、子供が遊んだら危険かも。昔から子供が近づいちゃダメな水辺の周辺では、「かっぱが出て注意喚起してくれた」ものです。

店名の由来が「手賀沼」というのは「その方が分かりやすいから」で、実はかっぱちゃん、安全面でも地域を守っていたのかもしれません(推測ですが)。

食べた印象
食べた印象

 

食後の余韻

食後の余韻
食後の余韻
食後の余韻

かっぱちゃんの最寄り沼、「本願寺沼」があった一帯へも足を延ばしてみました。中央学院大学裏の堤防を越えると、感覚的には利根川が見えそうな気がしますが、そこにあるのは広大な農地。

でも「久寺家」という地域より利根川側のエリアが、わずかに沈んだ地形になっていて、ここが「かつて本願寺沼だった場所」だと推測できます。

でも本願寺沼、実は現役です。

この一帯は大雨時に水を受け止める「田中調節池(兼農地)」になったので、ある意味「更新版の本願寺沼」と言ったところ。

利根川の水位が上がった時は、越流堤を通してこの広い農地が一時的に水を引き受け、周辺の住宅地を守る仕組みです。

地域の人を「腹ペコから守る」のはかっぱちゃん、「水害から守る」のは利根川の堤防と調整池。そんな思いを馳せながら、チャーハンの堤をレンゲで崩してみるのも、味なものです。

食後の余韻
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