浅草デートはなぜ「つまらない」のか:5つの視点で見る「下町門前町の限界」

浅草デートはなぜ「つまらない」のか:5つの視点で見る「下町門前町の限界」 沼NEWS

浅草デートが「つまらない」と感じてしまうのは、自分だけ? ─ そんな疑問を抱いてしまった人に向けた記事です。

SNSには楽しげな浅草デートの写真が並び、カップルの投稿も溢れていますが、実際に来てみたら「なんか違う」と感じた経験、ありませんか?

この記事では、デートが楽しい街に共通する5つの要素をもとに、浅草という街とデートの「相性の悪さ」を東京下町在住の筆者が検証していきます。

なぜ物足りなさを感じるのか、どこにギャップがあるのかが見えてくるはず。読めば「浅草ってそういう場所だったんだ」と腑に落ちる、デートプランの失敗を防ぐためのヒントが詰まっています。

 

「デートが楽しい街」に必要な5つの要素

「デートが楽しい街」に必要な5つの要素

デートが楽しい!と感じる街には、いくつかの共通点があります。たとえば、混雑しすぎず二人で落ち着いて歩けること。

会話が自然と続くような空気感や、五感にストレスがかからない環境も大切です。さらに写真を撮りたくなる景色や、並ばずに入れるオシャレな飲食店があるか?は満足度に直結します。

その場のノリで動ける柔軟さ、半日いても飽きない体験の幅、そして二人の距離が自然と縮まるような「仕掛け」があること。

また夜景や海など、ロマンティックな要素をさりげなく含む場所は、記憶にも強く残ります。こういった条件がそろった街では、特別な演出をしなくても「また来たいね」と思える関係が生まれるもの。

デートの成功は、その街に「感情を置く場所」があるかどうかで決まります。

 

浅草デートを「つまらない」と感じる理由

それでは、「デートに必要な5つの要素」に照らして、浅草がどこでつまずくのかを見ていきます。

①歩きやすくて落ち着けるか

歩きやすくて落ち着けるか

浅草を歩いて感じるのは、とにかく人が多いことでしょう。仲見世通りはほぼ常時「満員電車の横移動」状態で、立ち止まるのも一苦労。

写真を撮りたくても後ろから人がぶつかってきて、シャッターチャンスどころではありません。ふたりで並んで歩くのも難しく、会話が途中で途切れがち。

ゆったり街歩きを楽しむ余白など、ここには全くなく、完全にサバイバル状態。

鎌倉や横浜のように「歩いているだけで心地いい」と思える静けさや趣を味わうこともできず、常に人の激流に流されているだけの感覚が続きます。

しかも聞こえてくるのは外国語ばかりで、日本的な情緒は感じられない。

観光地としての賑わいは魅力かもしれませんが、落ち着いた時間を過ごす場所としては、「向いていない街」というのが正直な印象です。

②華やかさと非日常感を味わえるか

華やかさと非日常感を味わえるか

浅草の街並みは、華やかさよりも「昭和の下町感」が前面に出ています。なので建物や看板の雰囲気もどこか生活臭が強く、デートのワクワク感を引き出すような非日常の空気が作りにくいのが実情です。

商店街の賑わいはあるものの、いわゆる「映え」とは違い、友達に自慢したくなるような街並みではありません。

さらに言えば、近くにそびえるスカイツリーとの世界観のギャップも大きく、和の街に突然ガラスの塔が差し込まれたような「ちぐはぐ感」も否めない。

鎌倉が「古都+湘南海岸」で構成されているのに対し、浅草は「門前町商店街の熱気」と「下町の歓楽街の名残」が交錯する、少し押しの強い空気が漂います。

つまり二人の気分が自然に「特別モード」へ切り替わるようなロケーションとは、少し方向が違うかもしれません。

③食事がちゃんと美味しいか

食事がちゃんと美味しいか

浅草の食は「観光向け」に振り切られている印象が強めです。老舗の味は悪くないものの、観光価格とあの混雑を踏まえると「一度行けば十分」と感じてしまう人も多いはず。

おしゃれなカフェや雰囲気のいいレストランも確かにありますが、人気店ほど行列が絶えず、デートでスッと入れる「余裕」がないのが悩ましいところ。

結果として予定していた店に入れず、食べ歩きや無難なチェーンに流れがち。スイーツや洋食、洒落た居酒屋まで探してみても、混雑と価格の壁が立ちはだかり、満足度にムラが出やすい印象です。

実際は押上・蔵前・上野あたりに移動したほうが、ゆったり食事を楽しめる状況が多いでしょう。

ホッピーや焼き鳥の気軽さは浅草らしさですが、デートとしては「方向性の違いが出やすい街」ともいえます。

④楽しい・ドキドキが続くか

楽しい・ドキドキが続くか

浅草は雷門から仲見世、浅草寺までの流れでデートの前半が完結してしまい、その先の展開には迷いがち。周囲は確かに賑わっていますが、人をかき分け進んでも「同じような商店街」ばかり。

なので結局食べ歩きに走るしかなく、「もう限界…」となるタイミングが早めに訪れます。着物のカップルがSNSで楽しそうに見えるのは、一瞬の「映え」に賭けているから。

彼らが一日中「快適だったか?」は分かりません。そんなこんなで、丸一日楽しむのが難しいのに「個性だけは強い」、それが浅草という街。

なので、この後どこかへ移動しようか?と思っても、何となく気分が乗らなくなる。これがもし鎌倉だったら、鶴岡八幡宮と小町通りの後は江ノ島に向かいますよね?

でも浅草には江ノ島がなく、あるのは向島くらいです。

⑤ロマンティックな環境か

ロマンティックな環境か

さて、デートスポットとして、これは一番重要な要件かもしれません。「ロマンティック」という視点で見たとき、浅草は明らかに苦しいでしょう。

まず、ロマンが生まれるために必要な「静かさと安心感」のバランスが全くない。

人通りが多いだけでなく、路地に入っても生活音が強く、二人の距離が自然に縮まる「落ち着きゾーン」は見つかりません。隅田川沿いを歩いても、そこにあるのは都会の雑踏と首都高ビュー。

二人で眺める夕日だって、なぜか「三丁目の夕日」に見えてしまう。夜もあなたの瞳に映るのは、「一寸一ぱいお気軽に」の赤提灯。

つまり浅草は、時間の変化に合わせて気持ちがゆっくり整う場所ではないということ。飲み食いできないロマンより日々の生活を ─ そんな「下町魂の極み」。それが浅草なんです。

生活の場である下町はデートに不向き

生活の場である下町はデートに不向き

ところで…、なぜデートで浅草へ行こうと思ったんですか?

有名観光地だから? 着物デートの投稿をSNSで見たから? 京都や鎌倉っぽい「和の雰囲気」が東京で手軽に味わえると思ったから?

私もかつて横浜に住んでいた時、そんな感覚で浅草へ行って大失敗した経験があります。

京都や鎌倉は古(いにしえ)の都。各地から人が集まり、滞在する機能を持った「都市」です。でも浅草は「寺院とその門前町」。なのでメインは参拝で、食事や娯楽は「ついで」です。

しかも浅草がある下町というのは、東京の「都(みやこ)ではない部分」で、日本のいち地方である東京の「県民」が暮らす「生活感の特濃エリア」。

楽しいデートに必要なのは非日常感でしょう。でも下町にあるのは超が付くほどの日常。だから、下町はデートに不向きなんです。

沼探
沼探TOPページへ戻る

コメント