横須賀市のガソリンはなぜ高い?:半島地形が作り出す「閉じたガソリン市場」の街

横須賀市のガソリンはなぜ高い?:半島地形が作り出す「閉じたガソリン市場」の街 沼NEWS

車で横須賀に遊びに来て、「なんかガソリン高くない?」って感じたことはありませんか?

この記事はそんな違和感をもった人に向けて、なぜ横須賀市のガソリンが他の都市より高いのかを、地形や市場構造の視点からわかりやすく解説します。

実際に横須賀市が公表したデータや地理的な条件に基づいた根拠をもとにして、横須賀ガソリンが高くなってしまう仕組みを読み解いていきます。

読み終える頃には、観光客が横須賀で給油しない理由や、他都市と比べた構造的な違いがすっきりと見えてくるはずです。

 

横須賀市が明言した「他所よりガソリンが高い理由」

横須賀市が明言した「他所よりガソリンが高い理由」

横須賀って、なんかガソリン高い気がする…って思ったことありませんか? 実はそれ、気のせいじゃありません。

2024年11月の総務省の調査によると、レギュラーガソリンの平均価格は横浜が173円、川崎が174円に対して、横須賀は177円。

横須賀市の公式サイトでもこの差は認められていて、「周辺都市より高い傾向がある」としっかり書かれています。ではなぜ高くなるのかというと、理由のひとつは「製油所からの距離」。

一番近い製油所は横浜の根岸製油所ですが、横須賀はそこから地味に(20〜40km程度)離れていて、これが輸送コストに影響します。

さらに横須賀は土地の値段も安くはないため、スタンドの固定費もかさみやすい。この「運ぶコスト」と「土地のコスト」という組み合わせが、ジワジワと効いてくるわけです。

横須賀市は袋小路構造の「閉じたガソリン市場」

「生活ガソリン」だけではスタンド経営が難しい

「生活ガソリン」だけではスタンド経営が難しい

横須賀市には現在、ガソリンスタンドが31店舗あります(※)。人口はおよそ37万人なので、1店舗あたりの商圏は約1.2万人ほど。

これが横浜市の場合だと、人口約377万人に対してガソリンスタンドは242店舗(※)です。

こちらは1店舗あたり約1.6万人ですが、横浜市は通過車両や観光客、物流関係の車も多く、市民以外の需要も見込めます。

つまり横浜市は約1.6万人という数字より大きな商圏が期待できるということ。一方の横須賀市は三浦「半島」に位置するため、通り抜けるようなルートが存在しません。

つまり通過車両が給油することは少なく、基本的には横須賀市民の「生活ガソリン」が需要の中心になる。

これでは売上も安定しづらく、スタンド同士の競争も起こりにくいため、価格が高止まりするのは無理もありません。

※本記事執筆時点の数字のため、変動する可能性があります。参考値としてお読みください。

満タンで往復できて高いという「ヨコスカの事情」

満タンで往復できて高いという「ヨコスカの事情」
鴨川は東京湾フェリーを利用する前提で計算しています

たとえば横浜市から横須賀市へ車で行く場合、片道は35km程度(市役所間)。この距離、仮に燃費15km/Lの車なら「たった2.3Lのガソリン」で足りてしまいます。

これは川崎市からでも3.1L程度、「東京都で東北地方に一番近い」足立区からでも5.7Lほど。つまり、どの街から来ても横須賀でわざわざ給油しなくても帰れてしまう。

しかも横須賀のガソリン、高けーし。。だったら「帰ってから入れよう」と考えるのが自然です。

実際、横須賀市には大型で入りやすいタイプのスタンドが少ないため、観光客はちょっとピンチでも「ガソスタ探すくらいなら横横(バイパス)乗って帰っちゃおっか」となりがち。

こうして横須賀市民だけが「地産地消(地産はしてない)」しているような状況になり、ガソリン価格が下がりにくくなっているわけです。

375km以上離れた街から来たら給油するかも

横須賀ガソリンはご当地グルメになるのか?

横須賀ガソリンはご当地グルメになるのか?

さて、このままでは「横須賀ガソリン」が「よこすか海軍カレー」に次ぐご当地グルメ(ただし車向け)になる未来を絶ってしまうので、可能性の話をします。

そもそも横須賀は「満タンで往復できて高い」から給油されないわけで、それなら「満タンでも往復できない街」を探してしまえばいい。

つまり標準的な50Lタンクの半分、25Lのガソリンで走れる距離より離れた場所から来る人なら、ワンチャン横須賀で給油する可能性があるということ。

ヨコスカの「価格と味」はつながっている

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横須賀といえばガソリンだけでなく、「海軍カレー」の価格や味にも独特の事情があります。街の地形や文化が、どこまで「値段と味」を左右しているのか。気になる方はこちらの記事へどうぞ。

で、それってどこよ?

で、それってどこよ?
で、それってどこよ?
画像をクリックするとGoogleマップでご覧頂けます

で、それってどこよ?ですが、答えは「375km(燃費15km/L想定)以上離れた街」です。せっかくなので横須賀から「きっかり375km離れた街」を探してみました。

それは岐阜県各務原市です!

ここはなんと、あの零戦が開発・試験された街。そんな場所から「かつての軍港・横須賀」を目指すなんて、激アツです!

ちなみに零戦は、増槽タンクを付けると3,350kmも飛べたんだとか。つまり現代の車がギリギリ往復できる横須賀市まではひとっ飛び。

そのまま稚内(北海道)まで行き、こんどは南下して屋久島空港(鹿児島)に着陸できる ─ そんな対比もまた、グッときます。

地名の読み方に「沼」はつきもの

地名の読み方に「沼」はつきもの

これ、佐賀県唐津市に実在する地名です。ちなみに…「にたこ」ではありません。

「各務原(かかみがはら)」も相当だけど、佐賀にはもっと読めない地名がワンサカ。常識では読めないクセ強「難読」SAGA地名の数々、「二タ子」の答えが気になってしまった方もぜひ ─。

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